うちの子は夜驚症??|2歳なのに夜泣きが続く、睡眠障害や発達障害との関係性について
夜泣きは育児の中でもママ・パパにとって難関なことの1つです。やっとひと段落したと思っていた夜泣きが「2歳になって、また夜泣きがスタート?」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2歳の夜泣きは0歳の頃の夜泣きとは違い、夜驚症や発達障害などの可能性も考えられますので、この記事では、2歳児の夜泣きについて解説しています。
2歳を過ぎても夜泣きをするのはなぜか?
2歳頃になると夜泣きはすっかりおさまって朝まで寝てくれるようになるものですが、しばらくおさまっていたのに関わらず、突然また夜泣きが始まることがあります。
夜泣きは確かな原因が明らかになっていないものですが、2歳児の夜泣きは赤ちゃんの頃とは違った以下のような要因が考えられます。
- ●心身のストレスや刺激による夜泣き
●夜驚症(やきょうしょう)
●睡眠障害
●発達障害
2歳児の夜泣きの原因は?
病気ではない夜泣きも病気の可能性のある夜泣きも様子はよく似ています。ストレスや不快感から泣いている一般的な夜泣きかもしれないし、病気が原因かもしれません。
また、「発達障害の子どもは睡眠の問題が出やすい」という説もあります。
病気や障害以外の2歳児の夜泣きには以下のような原因があげられます。
- ●睡眠のサイクルが乱れた
└何らかの拍子に目が覚め、昼夜の区別がつかずに混乱して泣きはじめ、それをきっかけに睡眠のサイクルが乱れた夜泣きにつながることがあります。 - ●感情の整理がつかない
└人間は睡眠中に情報を整理しますが、2歳だと受ける刺激や経験が多いため、感情の整理がしきれずに夜泣きにつながるケースがあります。 - ●断乳・卒乳のストレス
└断乳や卒乳をはじめると、夜中におっぱいが恋しくなって泣き出すことがあり、夜泣きの原因になります。 - ●体調不良によるもの
└2歳だとまだ具体的に体調不良を伝えることができないため、「痛み」や「気持ちの悪さ」などを言えずに泣いて訴えている場合があります。
夜驚症・睡眠時驚愕症と夜泣きの違い
子どもが発症しやすい代表的な睡眠障害の1つに「夜驚症(やきょうしょう)」があります。別名、睡眠時驚愕症(すいみんじきょうがくしょう)とも呼ばれる夜驚症の夜泣きとの違いについて解説します。
夜驚症・睡眠時驚愕症とは
夜驚症(睡眠時驚愕症)とは、睡眠中に突然驚いたように叫び声をあげたり、大声で泣き出したりする睡眠時随伴症の一種です。主には2歳~6歳頃に起こる一時的な疾患で、小学校の高学年になる頃には消失することが多いのが特徴です。
症状が起こるのは、眠りについてから起床するまでの最初の3分の1以内の時間が多く、だいたい1~10分くらい症状が続きます。
また、それよりも長く続くこともあります。
夜驚症・睡眠時驚愕症の原因
夜驚症(睡眠時驚愕症)の原因も、夜泣きと同じく、現時点で明確に判明はしていません。
成長するにしたがって、思春期までには完全になくなることが多いため、脳の発達や成長過程に深く関わりがあるのではないかと考えられています。
夜驚症と夜泣きの違い
子どもが眠っていたのに泣き出して起きるという点では共通している夜泣きと夜驚症にはどんな違いがあるでしょうか。
夜泣きとは、生理的な現象とは関係なく夜目覚めたときに不安や興奮などの感情をコントロールできずに泣き続けることです。
一方、夜驚症は突然泣き叫んだり、驚きや恐怖に満ちた様子で泣き続け、声をかけても無反応で落ち着かせることが困難なことが特徴です。
発達障害のある子どもの睡眠障害
発達障害の人に睡眠の問題が多い原因について詳しい関連性は分かっていません。
しかし、成長の過程において脳機能の発達が不十分であると、睡眠と覚醒を調節する中枢神経系が機能不全である可能性が考えられています。
睡眠障害の可能性がある子どもとのかかわり方
子どもに睡眠に関する問題が見つかった場合、まずは子どもをよく観察することが大切です。
睡眠障害の多くは、精神保健的な問題にまでは発展しないと考えられますが、鬱っぽい症状や夜尿症が伴う場合には情緒的な問題が関係している可能性もあります。障害や病気の様子はないか、本人がストレスを感じていないかといったところを注意しながら、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
子どもの発育に睡眠が重要な理由は?
睡眠と覚醒のリズムを整え、良い睡眠をとることは子どもの健やかな成長と発育、そして健康維持にとても大切なものです。
睡眠は、幼児期に起こる記憶/神経系に関する脳の発達や情緒の安定・ホルモンバランスの変化を促し、また十分な睡眠をとることで日中の活動の質を高めるため、身体の発達にも良い影響を与えます。
発達障害と睡眠障害の特徴
発達障害と睡眠障害は併存しやすいといわれています。それぞれの特徴と、発達障害の場合に多くみられる睡眠障害の特徴について解説します。
発達障害と睡眠障害の特徴
発達障害と睡眠障害の特徴について解説します。
<発達障害の特徴とは>
発達障害とは、コミュニケーションの問題が生じやすく、対人関係を築くことが苦手であるという傾向があります。
発達障害の種類には以下のようなものがあげられます。
- ●自閉症スペクトラム障害(ASD)
●アスペルガー症候群
●注意欠陥多動性障害(ADHD)
●広汎性発達障害
●学習障害
<睡眠障害の特徴とは>
睡眠障害があると、日中に居眠りをしてしまうなど、集中力の低下が現れやすい傾向があります。睡眠障害の特徴には以下のようなことがあります。
- ●寝つきが悪い
●睡眠中に途中で目が覚める
●ベッドに行きたがらない
●睡眠のリズムが不規則で昼夜逆転している
●朝起きられない
●朝目覚めない
●起床時に疲労感がある
●日中に眠気がある
●いびき
発達障害に多い睡眠障害の特徴
発達障害の中でも、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と「注意欠陥多動性障害(ADHD)」は併存することが多く、睡眠障害を合併しやすいことで知られています。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもを調査した研究論文によると、73.3%に睡眠障害の症状がみられており、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有している子どもでは、60~86%に不眠を主体とした睡眠障害があると確認されました。
以上のことから、発達障害の小児の少なくとも50%以上に睡眠障害を抱えている子どもがいることが分かります。
2歳児の夜泣きは愛情不足なのか?
2歳児の夜泣きの原因が愛情不足からくるのではないかといわれることがあります。果たして本当に、愛情不足によって起こることがあるのでしょうか。
夜泣きと愛情の関連性について解説します。
愛情が届いていないと発症のリスクは上がる
愛情が感じられていると子どもの情緒の安定につながります。
外で嫌なことがあったとしても、「家庭では認めてもらえる」「楽しく過ごせている」など愛情が得られていると実感できる環境にいると子どもは安心して過ごせるので、安定します。
愛情が届いていないと、不満やストレスで脳の働きが低下し、疲れやストレスを処理できないため夜泣きや夜驚症の発症リスクが高まる可能性があります。
愛情遮断症候群とは?
愛情遮断症候群とは、子どもが成長や発育、発達の過程において必要不可欠な愛情を十分受けることができなかった結果、生じる成長・発達障害のことを指します。
子どもは愛情不足に非常に敏感なため、愛情を十分に受けられないと成長や情緒の発達が不安定になります。
愛情遮断症候群の場合、次のような症状がみられます。
- ●低身長
●癇癪(かんしゃく)を起こす
●夜泣き
●感情を出さない
夜泣きではなく病気の可能性(夜泣きに類似した疾患)
夜泣きだと思っていたら、実は病気だったということもあります。
夜泣きに類似した疾患について解説していきます。
睡眠時随伴症(パラソムニア)
睡眠時随伴症(パラソムニア)とは、入眠初期60~90分に起こる脳細胞の興奮状態で、夜泣き対策を十分に行っているのに毎晩起こる場合、疑ってみましょう。2歳頃からはじまって5歳頃には消えると言われていますが、生後数か月からずっと夜泣きが続き、この病気につながる場合もあります。
錯乱性覚醒障害(発生率:17%)
錯乱性覚醒障害とは、とにかく泣き叫んだり、暴れたりと暴力的になります。本人にその時の記憶がないのが特徴です。
夜驚症(発生率:1-6%)
夜驚症の場合は、強い恐怖を示して悲鳴や驚愕で泣き叫びます。自律神経の興奮を示すところが錯乱性覚醒障害との違いです。
睡眠時遊行症(発生率:17%)
睡眠時遊行症とは、自覚のないまま半無意識状態で辺りを歩き回る症状です。
ノンレム睡眠の最も深い段階で起こり、歩きながら何かをつぶやいたり、障害物にぶつかってしまったりすることがあります。
悪夢障害
悪夢障害とは、入眠後最後の1/3程度に起こり、基本的にはすぐに覚醒します。
おびえていて泣く場合もありますが、発声や自律神経症状は少なく、運動症状もあまりなく、悪夢の状況を覚えていることが多いです。
睡眠関連てんかん
睡眠関連てんかんは、入眠後と寝起きに起こることが多く、寝起きに起こるケースは特に疑わしいです。
痙攣がある場合は分かりやすいですが、パラソムニアに症状が良く似ている場合もあります。頻繁におきる場合は脳波検査をしてみましょう。
むずむず足症候群
むずむず足症候群は、とにかく夕方から夜にかけて下腿がこそばゆくなり、じっとしていられなくなります。
子どもは以下のような症状を訴え、足をバタバタさせ、ひどいと泣く場合があります。
- ●足が気持ち悪い
●こそばゆい
●熱い、足が痛い
●トゲが刺さっているよう
鉄欠乏(貧血の有無は問わない)
貧血の有無を問わず、脳内の鉄欠乏が原因の場合は、鉄剤を投与することで改善する場合があります。
鉄欠乏の症状は、貧血だけでなく、脳の発達が障害される可能性があります。
夜泣きした時におすすめな3つの対処法
夜泣きが始まったら、とにかくできる対処をして泣き止ませ、落ち着かせましょう。
ここでは、先輩ママたちが効果が高かったという方法を3つご紹介します。
- ●いったんしっかり起こしてしまう
●見守りながらしばらく泣かせておく
●ドライブに出かける
いったんしっかり起こしてしまう
夜泣きは怖い夢を見たり、寝ぼけたりしていて泣いていることがあります。なかなか泣き止まない時には、いったんしっかりと目を覚ましてあげてください。
寝室から出て水を飲ませてみたり、トイレに連れていってみたりして身体に刺激を与えることで泣き止む場合がありますので、泣き止んだら、しっかりスキンシップをして再度寝かしつけてあげましょう。
絵本を読むなどコミュニケーションをとることで安心してまた眠ることができます。
見守りながらしばらく泣かせておく
寝ぼけて泣いている場合、抱き上げたり、声をかけたりせずにしばらくそっと泣かせておくと、再び寝ることがあります。
2歳にもなると泣いたときにすぐに対応しなくても自ら寝入ることも多くなります。
ただし、身体に異変があったり、泣き止んで寝入るとは限らない場合があるので、眠るまでは目を離さずに見守ってあげるようにし、放置は絶対にしないでください。
ドライブに出かける
どうしても泣き止まないというときは、近隣への迷惑も気になることでしょう。
その場合、外に連れ出してみるのもおすすめです。空気が変わることで、泣き止むことがあります。
車があれば、ドライブに出かけると心地よい揺れが子どもを眠りへと誘ってくれます。
夜泣き改善のためにできる対策
2歳になって再び夜泣きが始まってしまったら、生活リズムの見直しとスキンシップを増やして夜泣きの改善を試みてみるのもおすすめです。
夜泣きを改善するための対策方法をご紹介します。
- ●朝早く起こす
●午前中のうちから戸外でたっぷり遊ぶ
●お昼ご飯を食べたらお昼寝させる
●午後も身体を動かす
●夕飯後はお風呂に入って早めに寝かせる
●眠るときの儀式、ルーティンを決めておく
朝早く起こす
夜泣きをしているとつい、朝は遅くまで寝てしまいがちです。
しかし、生活のリズムを立て直すためにも、朝は早めに起こすようにしましょう。
朝の忙しい時間帯、子どもが寝ていてくれた方が手がかからず家事がしやすいかもしれませんが、朝早起きすることが生活リズムを整える第一歩になります。
午前中のうちから戸外でたっぷりあそぶ
午前中からたっぷり活動して身体を動かすことが大切です。歩いたり、走ったりして遊ぶことで午後や夕方の黄昏泣きが減ります。
またスキンシップをたっぷりとることも意識するようにしましょう。
お昼ご飯を食べたらお昼寝させる
午前中にたっぷり遊んで身体を動かした後は、ランチのあとお昼寝をしましょう。お昼に慣れていない場合は、ゴロンとして絵本を読んだりするだけでも大丈夫です。
お昼寝があまり長いと夜眠れなくなってしまうので、2時間程度で起こしてメリハリをつけてあげましょう。
午後も身体を動かす
お昼寝から目を覚ましたら、午後もたっぷり遊んで身体を動かすようにしましょう。
日中にたくさん活動しておくことが快眠につながります。
夕飯後はお風呂に入って早めに寝かせる
夕食を食べた後は、お風呂に入って、なるべく同じ時間に眠るように習慣づけるようにしましょう。そうすることで生活のリズムが整ってきます。
お風呂は湯舟に浸かる方がより良い睡眠につながります。
眠るときの儀式、ルーティンを決めておく
夜、スムーズに入眠できるように、眠る前の決まり事(儀式)を決めておくことを取り入れてみましょう。
例えば、「お気に入りの寝んねタオルを持つ」「絵本を読んでから寝る」「今日あったことをお話ししてから寝る」等です。
ルーティンにしておくことで、眠るまでの習慣が自然と身に着くようになります。
まとめ
2歳になってから再び夜泣きが始まった場合について解説してきました。
新しい刺激や変化による成長のために起こる一過性の夜泣きもあれば、病気や発達障害の可能性など2歳児の夜泣きや赤ちゃんの頃の夜泣きとは違う可能性も考えておく必要があります。
生活のリズムを整えることで改善される場合もありますので、子どもの様子をよく観察しつつ、気になることがあればかかりつけ医などに相談してみましょう。
この記事を書いた人
メルシーママン編集部
育児に関するお役立ち情報やママさんたちが感じているお悩みを解決できるような情報を発信します!