赤ちゃんがハイハイしない原因と対処法について|シャフリングベビーや発達障害などの可能性は?
ハイハイを始める時期といわれている頃になってもハイハイをしないと、成長や発達が心配になるママも少なくありません。
この記事では、ハイハイをはじめない赤ちゃんのあれこれについて解説しています。
ハイハイはいつ頃からするの?
ハイハイがいつ頃から始まるかというと、約9割の赤ちゃんが生後9か月~10か月の間にハイハイできるようになると厚生労働省の調査では報告されています。
ハイハイはいつ始まる?
ハイハイは、早く始める赤ちゃんだと生後5か月~6か月頃から、遅くとも1歳までには97%の赤ちゃんがハイハイをしています。ハイハイを始める時期に大きな開きがありますが、1歳までにはハイハイを始めている事がわかります。
ハイハイはいつ終わる?
ハイハイの終わりは安定して歩けるようになるまでです。
赤ちゃんは歩けるようになっても始めはよちよち歩きで安定して歩くのが難しいために、早く移動したいときにはハイハイをするという赤ちゃんもいます。ハイハイを始めてから3か月ほどで終了するのが約1/3、3か月~5か月で終了するのが約1/3と、ハイハイをしなくなるのも個人差があります。
ハイハイをしないのは異常?
赤ちゃんの中にはハイハイをしない子もいるようです。ハイハイをしないのは異常なのでしょうか。
結論は、ハイハイをしないからといって異常ではありません。
ハイハイをしない原因は?
ハイハイをしないと不安に感じるかもしれませんが、ハイハイをしない赤ちゃんは珍しくはありません。
赤ちゃんがハイハイに興味がない場合や、住まいのスペースの問題からハイハイで動きまわれない場合などハイハイをしない赤ちゃんも一定数存在します。
ハイハイしないシャフリングベビーとは?
ハイハイをしない赤ちゃんのことを「シャフリングベビー」ということがあります。シャフリングベビーとは、ハイハイをしないでお座りをした姿勢のまま移動する赤ちゃんのことをいいます。
ハイハイをするメリットは?
ハイハイが赤ちゃんにとってどのようなメリットがあるかについて解説します。
<ハイハイをするメリット>
- ①:自分の体を支える基礎的な運動
②:リズミカルに重心を左右に移動させる練習
③:原始反射から姿勢反射への切り替え
①:自分の体を支える基礎的な運動
ハイハイはお腹を床から浮かせながら、手のひらとヒザ下で赤ちゃんが身体を支えて前に進む移動方法です。
ハイハイをして移動するという行為によって、自分の身体を支えることで基礎的な力を備えることができます。
②:リズミカルに重心を左右に移動させる練習
ハイハイは重心を移動させながら前に進みます。そのためには左右の手足を交互にリズミカルに動かす必要があります。
この交互に手足を左右に動かす重心移動の積み重ねが、つたえ歩きや独り歩きをするための身体の使い方の練習になります。
③:原始反射から姿勢反射への切り替え
赤ちゃんには「原始反射」という自分の命を守る本能が備わっています。
これは、ミルクやおっぱいを吸う為の哺乳反射や驚いた時に反応するモロー反射のことです。一方、姿勢反射とは身体のバランスを取る反射のことをいいます。
ハイハイをすることで姿勢反射を鍛えることができます。
ハイハイしない理由と対処法は?
赤ちゃんがハイハイをしない場合、その理由は一つではありません。
赤ちゃんがハイハイしない理由には次のようなことが考えられます。
- ●腰すわりが安定していない
●筋力が不足している
●移動に対する意欲が少ない
●ハイハイ以外の移動手段で満足している
●環境が整っていない
●股関節脱臼している
●知覚機能が未発達
腰すわりが安定していない
腰すわりが安定していない場合、ハイハイができません。腰すわりが安定してるかどうかは、「支えがなくてもお座りの姿勢が保てる」「両手が座った状態で自由に使えること」で判断できます。
また、腰すわりが安定していない時は腰の神経を傷めてしまう恐れがあるので、お座りの姿勢をさせすぎないように注意しましょう。
筋力が不足している
ハイハイは身体を支える両手足の筋肉以外にも腹筋や背筋、腰やお尻の筋肉も使います。そのためそれらの筋肉が十分に発達していないとハイハイできる準備が整っていません。
うつ伏せやずりばいなど赤ちゃんは日々の動きの中で少しずつ筋力をつけていきます。
各部位の筋肉が鍛えられてはじめてハイハイができるようになります。
早くハイハイができるようになるためには、遊びながら少し負荷のかかる動きをさせて筋力アップを計るのも良いでしょう。
移動に対する意欲が少ない
赤ちゃんが移動することに対する意欲があまりないことから、ハイハイをはじめない場合もあります。
身体を動かしたい気持ちや気になるものがある、誰かのそばに行きたいなど、移動に対して欲求がわかないとハイハイしてまで自力で移動しようとは思わないのです。
赤ちゃんが興味を持つもので気をひくなど、好奇心を刺激してあげると移動したいという意欲が高まる可能性があります。
ハイハイ以外の移動手段で満足している
赤ちゃんにはハイハイ以外にも移動手段があります。抱っこしてもらうこともあれば、ずりばいや歩行器などでも移動ができますから、その他の移動方法で満足している場合、ハイハイをはじめないこともあり得ます。
環境が整っていない
ハイハイしやすい環境が整っていないことで、赤ちゃんがハイハイを始めないことも考えられます。例えば、ハイハイで移動する十分なスペースがない場合や、安全に動きまわれる平坦なスペースが整っているかどうかです。
また、赤ちゃんの服装が動きやすいかどうかも重要なポイントです。
ハイハイをするのに適した服装は、動きまわる際に負担が少ない上下が分かれている服です。
股関節脱臼している
多いケースではありませんが、股関節が外れている、または外れかけていてハイハイができない場合があります。大腿骨の先端が骨盤におさまっておらず、股関節脱臼している状態では、ハイハイすることができません。
次のような特徴があったら、小児科や整形外科に相談してみてください。
- ●脚のつけ根にあるシワの数が左右で明らかに差がある
●左右で足の長さが異なる
●股関節が開きにくい、または開きすぎている
●脚を曲げた状態で股を広げるとポキポキと音がする
知覚機能が未発達
聴覚や視覚の発達が弱いことが原因でハイハイを始めないケースがあります。もしも乳児検診の際に経過観察などの診断を受けていたら、これが原因の一つになっていることが考えられます。
呼びかけに対する反応が乏しかったり、対象物に対して目で追ったりなどの動きが少ない場合は、小児科などの専門機関に相談してみましょう。
ハイハイを促す方法は?
ハイハイをするように促すには赤ちゃんにどんなことをすると良いのか、具体的な方法について3つご紹介します。
ハイハイに興味を持ってほしい場合は試してみてください。
練習の前に環境を整える
赤ちゃんがハイハイできるように、練習する環境とスペースを整えてあげることが大切です。
- ●取りに行きたいと思わせるおもちゃを使う
└赤ちゃんがおもちゃを目指して動きたいと思うように、赤ちゃんの目線に合わせて興味を引くおもちゃを置いてみましょう。
●動けるスペースを広く確保する
└赤ちゃんがハイハイしやすいように平坦で動きまわれるスペースを確保してあげましょう。
家の中でそういったスペースを作れない場合は、児童館などを利用するのも良い方法です。
●ママが張り切りすぎない
└ママが張り切りすぎないことも大切です。
赤ちゃんが自分から意欲を出してハイハイするようにサポートしてあげましょう。
遊びの中で練習する
赤ちゃんが楽しくできるように遊びながら練習するように工夫しましょう。例えば、以下のようなことを取り入れてみると遊びながら練習になります。
- ●赤ちゃんの30センチ前くらいにおもちゃを置いて、取りに行きたくなるようにする
●転がったり、動くおもちゃを置いて、追いかけたくなるようにする
●段差を乗り越えられるように座布団などを置いてみる
ママやパパの真似をさせてみる
ママやパパが赤ちゃんに実際にお手本を見せてあげるのも良い方法です。ハイハイの格好で赤ちゃんに近づいていったり、隣でハイハイの格好をして進んでみたりすると興味を持ってマネをしやすいです。
赤ちゃんがマネをしたら、思い切りほめてあげましょう。
赤ちゃんがハイハイしないのは発達障害?
結論としては、ハイハイをしないからといって発達障害とはいえません。
ただし、ハイハイをしないということ以外にも下記のようなことがあり、気になる場合は小児科や保健センターなどで相談してみると良いでしょう。
- ●言葉の理解が遅い
●手指の発達が遅い傾向がある
●表情の発達が乏しい
ハイハイしないのは自閉症の可能性がある?
ハイハイができないことで検索すると「自閉症」という言葉がでてきますが、自閉スペクトラム症の判断基準に運動発達の遅れという項目はありません。
そのため、ハイハイを「する」「しない」は自閉症と直接的な関係はありません。
10か月でハイハイしないと障害の可能性がある?
ハイハイは10か月頃には多くの赤ちゃんがやっているので、ハイハイの気配がみられないと障害があるのかなど心配かもしれません。しかし、それだけでは障害の有無や異常が判断できるわけではありませんので、発達には個人差があることを思い出してください。
不安に思う時には、小児科に相談してフォローしてもらいましょう。
ハイハイまでの成長過程は?
お座り
お座りはハイハイを始める前の生後6か月頃にやり始める赤ちゃんが多いです。
はじめは足を前に出し、腕を身体で支えて座るようになり、少しの間なら両手を上げても座っていられるようになります。
安定してお座りができるようになる時期の目安は生後10か月~11か月頃になります。
ずりばい
ずりばいは、ハイハイを始める前にする行動で、お腹を床につけたまま進むようになります。両手と両足を交互に動かすことが難しく、お腹を持ち上げる力もまだついていない時に腕の力や脚の力だけで進むので「ずりばい」です。
前に進めずに後ろに下がってしまったり、くるくる回る子もいますが、次第に慣れてきます。
ハイハイ
ハイハイはお座りが安定してできるようになってから、移行してきます。
全身の筋肉を使って、進みます。
高ばい
高ばいとは、ハイハイからヒザを伸ばして足の裏と手のひらを床について進む姿勢のことをいいます。
高ばいはやらない赤ちゃんも多いので、特にこの動作をするようにならなくても気にする必要はありません。
つかまり立ち
つかまり立ちは、ハイハイの後にできるようになる行動です。
腕で身体を支えて、どこかにつかまって立っている状態で、全身のバランスを取りながらやっています。
シャフリングベビーは親のせい?
シャフリングベビーは一般的ではなくとも、医学的には珍しくはなく、個性的ではあっても異常ではないと考えられています。赤ちゃんがシャフリングベビーでも、親のせいだとか責めたり、がっかりする必要はありません。
シャフリングベビー はいつ歩く?
ほとんどのシャフリングベビーも遅くとも2歳までに歩き始める子が多いです。歩き始めたその後は、定型の発達段階を進んでいる子どもと変わりなく成長していきます。
シャフリングベビー 言葉の遅れはある?
シャフリングベビーは運動発達が遅いので、言葉の発達も遅くなる傾向があるといわれることが多いようです。しかし、必ずしも言葉の発達も遅くなるということはなく、普通に発達することもあります。
赤ちゃんがハイハイしないときに見直すことはある?
ハイハイは必ずやるものだと決まっているわけではありません。それでもハイハイをしないことに悩むママが意外と多いのも事実です。
赤ちゃんがハイハイをしない場合に見直すことについて解説します。
赤ちゃんの発達のためにハイハイは必要?
一般的にハイハイを含む発達の過程は「ずりばい→ハイハイ→高ばい」と進むといわれていますが、ハイハイは赤ちゃんが身体の使い方を覚えるための役割であるだけで、必ずしもそのパターンで発達していくとは限りません。
ハイハイの姿勢にある大切な役割とは?
赤ちゃんはいろいろな姿勢を経験していくことで腹筋と背筋のバランスを取る動きを習得します。転んだ時に大きな怪我を負ったり、致命傷を避けたりするために上手く転ぶことも乳幼児のころのトライ&エラーから学ぶのです。
ハイハイの姿勢には身体の重心が低く、倒れてもダメージが少ないうちに上手く転ぶことを覚えるという大切な役割があります。
ハイハイの動作から赤ちゃんが学ぶことは?
ハイハイの動作では、背骨と体幹も鍛えることができます。肩甲骨や腕、脚の筋肉を使うことで、これらの筋肉を発達させることになります。
また、足を交互に動かしていく動作は歩く動作を自然に身につけさせています。
ハイハイをするのに適した月齢はある?
ハイハイは必ずできなくてはいけない動きではありませんが、ハイハイの動きから赤ちゃんが学ぶことはたくさんあります。
そのため、生後9か月~10か月といった適した月齢になったら、ハイハイをする働きかけをしてみることをおすすめします。
まとめ
赤ちゃんがハイハイをしないからといって、深刻になる必要はありません。
しかし、ハイハイは赤ちゃんの成長と発達に良い影響もたくさん与えるため、可能であれば赤ちゃんがハイハイをするように促してあげると良いでしょう。
赤ちゃんの成長には個人差があるため、思ったように進まないことも多々あると思いますが、温かく見守ってください。
この記事を書いた人
メルシーママン編集部
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