ハイハイの練習方法と注意点|発達を促すハイハイのメリットとは
多くの赤ちゃんは生後9ヶ月~10ヶ月頃に、ハイハイを始めるといわれています。
赤ちゃんならではの動きであり、短い手足を使って一生懸命、前に進もうとする姿は愛おしいものです。
「寝返りをしたから次はハイハイかな」と楽しみにしているママ・パパさんも多いでしょう。
ハイハイを促すための練習方法や練習の際の注意点、さらにハイハイに隠された発達のメリットなどをまとめました。
ハイハイの種類とは
赤ちゃんがするハイハイは、細かく3つの形があるといわれています。
ずりばい | お腹を床に引きずったまま移動する |
四つ這い | お腹が床から離れた状態 |
高這い | 膝が伸びて、手の平と両足を床につけて進む |
寝返りをし、うつ伏せの状態で長時間いられるようになると、手足をバタバタ動かすようになってきます。
やがて、お腹から下の下半身を床につけたまま、ほふく前進のような形で腕と足の力を使って移動するのがずりばいです。
四つ這いが、いわゆる一般的にハイハイと言われる形です。
四つ這いの姿勢から、膝を伸ばして進むのを高這いといいます。
乳幼児検診などでは、このようにはって移動ができる状態を「ハイハイ」としています。
ハイハイのメリットとは
生後9ヶ月~10ヶ月の90%以上の赤ちゃんがハイハイできるといわれています。(参照:厚生労働省「一般調査による乳幼児の運動・言語機能について」)
多くの赤ちゃんがたどる発達段階のひとつであるハイハイには、このようなメリットがあります。
- ●基礎的な運動発達・筋力作り
- ●脳の活性化
- ●バランス感覚・反射神経の基礎
- ●体幹を鍛える
- ●協応動作の基礎
基礎的な運動発達・筋力作り
ハイハイは全身の筋肉を動かし、自分の体を支えるという基本的な筋力を刺激する運動です。
ハイハイで移動するためには、腸腰筋という股関節部分にある大きな筋肉を使わなくてはいけません。
腸腰筋とは、人間の体のバランスをとるための重要な筋肉で、赤ちゃんの時に正しい使い方を学んでおくと、腰痛になりにくいともいわれています。
首や肩、腹筋や背筋など、全身に負荷がかかるので、赤ちゃんの体力作りになります。
脳の活性化
手を使う行為は脳を活性化させるとわかっており、ハイハイの時に床に手をつくのは脳の活性化にも良い影響があると考えられます。
手足を使って赤ちゃんの脳を活性化させるだけでなく、自分の意志で動けるので好奇心も刺激します。
ママやパパの近くに行ったり、目で見えたオモチャを手にとったりする行動は、脳だけでなく精神的な発達も促されると考えていいでしょう。
バランス感覚・反射神経の基礎
ハイハイを始めた頃の赤ちゃんは、転んでしまったり、頭を支えきれずに床に顔をぶつけてしまったりしませんか?
大人であれば、両手足をついていてバランスを崩すという状況は考えにくいですが、赤ちゃんはまだバランス感覚を鍛えている途中です。
ハイハイでは、床を蹴るために足の指の力も使っています。この足の指の力が弱いと、バランスがとれずに転んでしまいます。
ハイハイでは体を支えるバランス感覚と、転んだ時に立て直す反射神経の基礎を学んでいます。転ぶのも赤ちゃんの経験のひとつと捉え、温かく見守りましょう。
体幹を鍛える
ハイハイは基本的な体力作りになるとお伝えしましたが、特に体幹に良い影響があると考えられます。
体幹は体の中心で、頭と肢体を除いた部分を指します。
体幹は運動能力だけでなく、基本的な姿勢を維持する力や、内臓を所定の位置に収める生命維持の役割も持っています。
協応動作の基礎
協応動作とは、2つの異なる部位や動作を同時に行う動きです。
右手と左手、目と手、手と足といった、2つの部位の力を同時に使う動きは、日常生活で必要な力となります。
協応動作の具体例としては「自分でボタンをとめる」「お茶碗を持って食事をする」などです。ハイハイの途中で手を伸ばしてオモチャを取るという動きは、協応動作の基礎を作っています。
ハイハイをしない理由は?
多くの赤ちゃんがハイハイをするようになりますが、中にはハイハイをせずにすぐにつかまり立ちをする子もいます。
ハイハイをしないからといって発達に問題があるわけではありませんので、心配しすぎる必要はありません。
ではなぜハイハイをしないのか、考えてみましょう。
- ●筋力が不足している
- ●環境が整っていない
- ●移動したいという意欲が低い
筋力が不足している
ハイハイには全身の筋肉が必要なので、赤ちゃんの筋力が不足しているのかもしれません。
赤ちゃんは首が座り、寝返りという順序をたどりハイハイをしていきます。
まだ寝返りの回数が少ない、またうつ伏せがあまり好きではない子も筋力が不足している可能性があります。
うつ伏せは背筋を鍛えている状態なので、まずはうつ伏せで首を自分で上げられる、手足を動かせるというような動きができるようになると、ハイハイに移行していきます。
環境が整っていない
赤ちゃんはハイハイをしたいのに、環境が整っていないという理由も考えられます。
ハイハイをする環境を整えるには、部屋のスペースや赤ちゃんの進路に障害物がないかを考えます。
大人の目線では気付かない障害物があるかもしれませんので、一度寝転がって赤ちゃんの目線になって、動きやすい環境になっているかを確認してみましょう。
移動したいという意欲が低い
ハイハイは赤ちゃんが自分で移動したい、という欲求も関係しています。
「ママやパパのところに行きたい」「あのオモチャを取りたい」という興味があれば、手を伸ばしてみたり、足で床を蹴って進んでみたりという動きが出てきます。
赤ちゃんを移動させる時に必ず抱っこをしていると、抱っこで移動できているので移動したいという気持ちが芽生えにくいかもしれません。
時間があるタイミングでいいので、手を出しすぎずに赤ちゃんの自発的な動きを促してみましょう。
ハイハイの練習方法は?
ハイハイをしない赤ちゃんもいますので、ハイハイは練習が必要なものではありません。
しかしハイハイにはメリットもありますので、家でできる練習方法をご紹介します。
- ●うつ伏せの状態で遊ぶ
- ●体を起こす練習をする
- ●移動したいという興味を惹く
- ●手本を見せてみる
うつ伏せの状態で遊ぶ
先述した通り、ハイハイはうつ伏せの状態からの延長でもありますので、うつ伏せに慣れるという所から始めましょう。
赤ちゃんによってはうつ伏せが嫌いな子もいますので、無理をさせずに楽しくできる方法を探しましょう。
ママやパパが寝転がって、お腹の上に赤ちゃんを乗せる遊びも、赤ちゃんにとってはうつ伏せの練習になります。歌を歌ってあげて楽しい雰囲気を作り、赤ちゃんが自然に首を持ちあげられるように促してあげましょう。
体を起こす練習をする
うつ伏せで顔を上げられるようになったら、上半身を起こすような練習も取り入れてみましょう。
バスタオルを薄くひいて、赤ちゃんの胸の下に入れてあげると、上半身を起こしたような姿勢になります。
赤ちゃんにとっては視界が広がる姿勢となり、見える範囲も増えるので興味のあるものを見つけるきっかけになるかもしれません。
徐々に手が出て、腕で上半身を支える力がついてくるでしょう。
移動したいという興味を惹く
ハイハイをするには赤ちゃんの気持ちも必要なので、移動したいという興味を惹くように工夫してみましょう。
ママやパパが呼んであげるのであれば、まずは短い距離から始めて、達成感を与えてあげます。
手を伸ばせるようにオモチャを絶妙な距離に置いてあげると、自分で手に取れるという喜びを感じられるようになるでしょう。
オヤツの時間にはオヤツを見せて、ハイハイをして食事の椅子まで促すというのもいいでしょう。ご褒美を見せてハイハイをさせたら、必ずご褒美をあげてくださいね。
手本を見せてみる
赤ちゃんは大人の真似をして、拍手をしたり、バイバイをしたりします。
しかし大人が普段ハイハイという動きを見せるタイミングはありませんので、お手本としてやってみせてあげるのも方法のひとつです。
楽しそうにやってみるのがポイントで、大人がハイハイをしてオモチャをとったら、喜んで見せてあげましょう。ハイハイをするのが目的ではありますが、まずは「やってみたい」という気持ちを引き出してあげましょう。
ハイハイを練習する際の注意点
赤ちゃんがハイハイをするようになると、寝ていただけの頃とは違います。
服装や環境など、ママとパパが気を付けてあげたいポイントはこちらです。
- ●動きやすい服装選び
- ●広いスペースを確保
- ●安全面に配慮する
- ●床を清潔に保つ
- ●無理な練習はしない
動きやすい服装選び
赤ちゃんにロンパースを着せているというママ・パパも多いかもしれませんが、ハイハイをするようになると上下セパレートの方が動きやすいかもしれません。
ハイハイは膝をつけて移動をするので、半ズボンよりも長ズボンタイプの方が安心だと考える人が多いようです。
また女の子の場合は可愛らしいスカートを履かせたくなってしまうかもしれませんが、ハイハイではスカートの裾を踏んで転んでしまう危険があるので動きやすさを重視しましょう。
セパレートでお腹が出てしまいそうで心配という場合は、下着だけはロンパースタイプの物を継続して使用するといいでしょう。
広いスペースを確保
ハイハイをして自由に動けるようになると、一気に行動範囲が広がります。
ベビーサークルを利用するなどして、赤ちゃんがのびのび動けるようなスペースを確保するのも大切です。
最初はゆっくりのハイハイであっても、あっという間に動きが速くなります。
ハイハイの次はつかまり立ち、つたい歩き、と、どんどん成長していきますので、ハイハイの先のステップも見据えたスペース作りをしていきましょう。
安全面に配慮する
ハイハイを始めて行動範囲が広がった赤ちゃんにとって、部屋の中は危険な物でいっぱいです。
転倒する可能性もありますので、家具の角にクッション材を貼ったり、電池や誤飲の危険がある小さな物は片づけておくようにしましょう。
ローテーブルや低いテレビ台の上など、赤ちゃんの手に届いてしまいそうな場所の物は、全て片づけておいた方がいいでしょう。
赤ちゃんをずっと目で追っていられるわけではありませんので、できるだけ安全な環境にしておけばママ・パパも安心して過ごせます。
床を清潔に保つ
ハイハイは床に手と膝をついて移動しますので、顔の位置も床に近くなります。障害物を片づけるだけでなく、床を清潔に掃除しておきましょう。
床の掃除に市販の使い捨てシート等の成分が気になる場合は、重曹やお酢を使ったお掃除がおすすめです。
床にはクッション性のあるジョイントマットなどをひいておくと、ズレないので動きやすく、洗えるので清潔に保てます。
無理な練習はしない
乳幼児期はその子によって発達のスピードが異なるものですが、周りの子どもと比較してしまいがちな時期でもあります。
「同じ月齢の子はもうハイハイしている」となると、焦って早くハイハイさせなくては、と感じてしまうかもしれません。
しかし赤ちゃんは発達段階だけでなく、性格の違いもあります。無理な練習をしてママが焦っても、本人はのんびり屋さんなのかもしれません。
その子に合わせた練習を取り入れながら、焦らず無理せずに成長を楽しんでください。
ハイハイをしないシャフリングベビーとは
ハイハイをしない赤ちゃんの中には、シャフリングベビーというお尻を引きずって移動するタイプの子もいます。
一般的とはいえませんが、シャフリングをする赤ちゃんは特に珍しいわけでもありません。
シャフリングベビーだからといって障害があるわけでもありませんし、特に心配をする必要はありません。
シャフリングを卒業させるコツ
シャフリングベビーでも問題ありませんが、「ハイハイを促したい」と考えているのであれば、遊びの中でうつ伏せを取り入れてみましょう。
シャフリングベビーはお座りの姿勢を好み、うつ伏せなどの他の姿勢を嫌がる傾向にあります。
絵本を見ながら、犬や猫の真似をしてハイハイの姿勢をしてみるなどして、ママやパパがハイハイを見せてあげるといいかもしれません。
つかまり立ちを促すのであれば、高めの家具の後ろからいないいないばぁ!をするなどして、高い位置に意識を持っていけるようにしてみましょう。
ハイハイをしなくても問題ない
赤ちゃんの発達段階には目安はありますが、必ずその通りでなくても問題はありません。
赤ちゃんの発達の問題だけでなく、環境やその子の性格も関係しています。
子どもが大きくなると、乳幼児期の大変な子育ては良い思い出になっているものです。
赤ちゃんの個性を大切に、親子のコミュニケーションの時間を楽しんでください。
この記事を書いた人
メルシーママン編集部
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