赤ちゃんの横向き寝は大丈夫?リスクや安全な寝かせ方を解説
今まで仰向けで寝ていた赤ちゃんがいつの間にか横向きで眠っていることがあります。
発達に伴って徐々に動けるようになっていき、とくに寝返りができるようになったころから横向き寝がよく見られます。
「いまから横向きで寝て大丈夫なの?」と不安や心配に思うママ・パパさんも多いです。
そこで本記事では赤ちゃんの横向き寝のリスクや安全な寝姿勢などについて解説していきます。
赤ちゃんが安全に寝るためのポイントをおさえることで育児の不安が軽減されますよ。
横向き寝が心配なママ・パパさんはぜひ参考にしてみてください。
赤ちゃんの横向き寝はいつからはじまる?
赤ちゃんの横向き寝は生後4か月〜6か月ごろからはじまることが多いです。
3か月前後で首がすわるようになり、それから寝返りができるようになるのですが、寝返りをすることで、自然に横向き寝になることがあります。
横向き寝ができるのは、首などの筋肉がしっかりと発達してきている証拠でもあり、赤ちゃん自身も首や体勢を動かせて楽しいと感じている段階です。
赤ちゃんの横向き寝は大丈夫?
横向き寝の赤ちゃんを見て「大丈夫?」と不安に思う人もいますが、実は横向き寝は乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)のリスクが示唆されています。
仰向け姿勢に戻してあげることが安全面では大切という意見も少なくありません。
仰向け姿勢にすることで、睡眠中に横向きからうつ伏せになって窒息状態になることを防げます。
また横向き寝で腕が体の下になっていると、うっ血する可能性もあり、1歳になるまでは仰向け姿勢で寝かせることを厚生労働省も推奨しています。
一方で横向き寝そのものはそこまで問題ではないという意見もあり、横向き寝は「決してしてはいけない」というわけではありません。
いびきが気になる赤ちゃんにとって横向き寝はいびき防止になります。また授乳後にゲップをさせるために、横向きで寝かせる方法を聞いたママさんもいるのではないでしょうか。
横向き寝にすることで、赤ちゃんがゲップをしやすくなり、ガスが溜まるのを防げます。
その際には、背中にタオルや小さなクッションを置き、安定した姿勢を保つようにして簡単にうつ伏せにさせないことが推奨されています。
大切なのは、寝ている赤ちゃんの状態をしっかり確認し、安全な環境づくりを行うことです。
大変ではありますが、赤ちゃんが寝ているときもママ・パパさんが目を離さずに定期的に確認してあげましょう。
なお生後1歳になると、自分で布団を払いのけたり体勢を難なく変えたりできるようになるので、横向き寝であっても無理に仰向け姿勢に戻してあげる必要は減ってきます。
横向き寝のリスク―SIDSの対策
上述したように横向き寝は、SIDSのリスクが上がる可能性も考えられています。
SIDSは仰向けで寝る赤ちゃんよりも、横向きやうつぶせ寝をする赤ちゃんに起きてしまうケースのほうが多いといった報告もあります。
1歳を超えてくると、SIDSのリスクも徐々に下がってきますが、それまではリスク対策をしっかりとしたいママ・パパさんは多いでしょう。
横向き寝によるリスク対策を踏まえて、赤ちゃんが寝る環境を次の5つの点から整えてあげましょう。
- 基本的に平らな場所で仰向け寝
- 固めの布団を使用する
- 赤ちゃんの周りを整理する
- ベビーベッドの使用
- 寝返り防止のクッションなどを使用
それぞれについて解説しますね。
基本的に平らな場所で仰向け寝
厚生労働省が推奨する通り、基本は仰向け姿勢で寝かせるようにするのがおすすめです。
首がすわって寝返りしはじめたらさまざまな姿勢で寝ようとするので、気がついたら仰向け姿勢に直してあげるようにしましょう。
平らな場所というのもポイントです。赤ちゃんの気道がまっすぐに保たれ、顔が布団や枕に埋もれることがありません。
また赤ちゃんが寝た際に体重が均等に分散されます。特定の部位に過度な圧力がかからず、骨格や筋肉の発達を健康的に促します。
硬めの布団を使用する
硬めの布団を使用することで、正しい寝姿勢を保ちやすく健康上のさまざまなリスク対策になります。大人の布団で赤ちゃんと添い寝する人も多いですが、できればベビー布団を購入するのがよいでしょう。ベビー布団は適度に反発してちょうどよい硬さ、かつコンパクトなので洗濯もしやすいです。柔らかい布団だと体重で体が沈んでしまうため、姿勢が保てなかったり、それによって血流が悪くなったりします。
赤ちゃんの周りを整理する
赤ちゃんが寝る環境にはぬいぐるみなどを置かないようにしましょう。枕やぬいぐるみ、ブランケット、その他の柔らかいものが赤ちゃんの顔にかぶさると、呼吸が妨げられ窒息する可能性もあります。
また周りにものがあると、赤ちゃんが自由に姿勢を変えられず、結果として不安定な姿勢になりかねません。
寝る場所はできるだけシンプルで安全な環境にしてあげましょう。
ベビーベッドの使用
大人用のベッドで赤ちゃんと一緒に寝るご家庭も多いですが、転倒や窒息の点からもベビーベッドで寝かせるほうが安全です。
また一般的なベビーベッドは40cm〜70cm程度の高さがあり、床付近に溜まったホコリから赤ちゃんを遠ざけてくれます。赤ちゃんは、発達が未熟なため大人よりもホコリやダニなどの影響を受けやすいです。
お兄ちゃんやお姉ちゃんがいると、赤ちゃんが寝ている間にイタズラをしてしまうこともありますが、ベビーベッドは柵がありイタズラ防止につながります。
寝返り防止のクッションなどを使用
赤ちゃんが寝返りできそうになってきたら、寝返り防止のクッションなどのグッズを使用するのもおすすめです。
寝返り防止クッションは、赤ちゃんが寝返りしないように体を支えたり動きを抑制したりできるクッションです。
寝返り防止のクッションの他にも赤ちゃんの安全を守るグッズは多く販売されているので、おうちの環境に合いそうなものを買っておくとよいでしょう。
SIDS以外の横向き寝のリスク
横向き寝はSDISのリスクにつながる可能性があることを解説しましたが、実はその他のリスクについて示唆されていることもあります。
- 股関節脱臼の可能性がある
- 頭の形に影響する可能性がある
- 歯並びが悪くなるの可能性がある
それぞれ横向き寝とどういう関係があるのか詳しく解説していきます。
股関節脱臼の可能性がある
横向き寝をすることで股関節脱臼のリスクにつながる可能性があるといわれています。
横向き寝が直接的に股関節脱臼の原因となるわけではありませんが、不適切な姿勢で長時間寝かせると、股関節に不自然な負担がかかります。
仰向け姿勢では、ひざと股関節が曲がってM型になっているのが通常です。しかし横向き姿勢では赤ちゃんにとって自然なM型ができないので、脚が不適切な姿勢となって脱臼につながることがあります。
頭の形に影響する可能性がある
赤ちゃんの頭部の骨は脳の成長に合わせられるよう、非常に柔らかいです。
頭蓋骨は赤ちゃんの成長とともに徐々に固くなっていきます。
そのためまだ頭蓋骨が十分に形成されていない赤ちゃんが毎回同じ向きで寝ると、圧力の関係でベッドに面している面が平らに変形するのです。
横向き寝が頻繁かつ長時間続くと「長頭症」といって、頭を上から見たときに横幅に比べて縦幅(前後幅)が長くなりやすいとされています。
NICU(新生児集中治療室)では、治療の関係で横向き寝をさせることが多いため、長期間治療を受けた赤ちゃんは長頭症になりやすいといわれています。
歯並びが悪くなるの可能性がある
歯並びは寝相による影響を受けることがあり、寝相によっては並びが悪くなることもあります。
赤ちゃんはまだ歯は生えていないですが、横向き寝をすると頭部の重みが下側になっているあごに圧力をかけ続ける状態になります。
そのためあごが歪んで成長してしまい、これから生えてくる歯並びに影響が出る可能性もあるのです。
ちなみに、歯並びの点からもおすすめなのは仰向け姿勢です。あごや歯に余計な力が加わらないため、自然な歯並びを促すことができます。
赤ちゃんの成長に合わせた寝姿勢の調整
赤ちゃんは成長していくにつれて寝る姿勢が変化していきます。
ここでは、新生児期から成長に応じた寝姿勢の調整方法を紹介していきます。
発達に伴ってどのような寝姿勢の変化をするか知っておくことで、考えられるリスクを軽減するために対策ができますよ。
新生児期の寝姿勢
赤ちゃんはママのお腹のなかにいるときは丸まっていました。
そのため新生児期は丸まった姿勢をさせると安心して心地よく眠れます。
未発達であるほど、関節は曲げる力が強いため、仰向け姿勢で寝かせると手がW型で股と脚はM型になるのが自然です。
また新生児期は後頭部が大きく、首が前に倒れやすいです。空気の通り道を確保して楽に呼吸ができるように、肩から首周りにかけて折りたたんだタオルを挟んでおくのもよいでしょう。
成長に応じた寝姿勢の変化
3か月〜6か月は自発的に寝返りをするようになります。
仰向けで寝かせるのは引き続き推奨されますが、寝返り返り(寝返りをした後に、再度寝返りをして仰向けになること)ができるようになったら、うつぶせ寝になっても少し見守ってあげてもよいでしょう。
6か月〜12か月は寝返りだけでなく、起き上がって座ったり、四つん這いになったりなど自分の好きな姿勢で寝ようとします。
安全が確保されているのであれば、赤ちゃんが快適に感じる姿勢を尊重するのも考え方のひとつです。
質のよい睡眠を促す寝かせ方
これまで解説してきたように赤ちゃんにとって良質な睡眠を促すためには、寝る姿勢に気を配っておくことが大切です。
加えて良質な睡眠を促すためには、ママ・パパが睡眠の質を高めるためのポイントをおさえておくことと、適切な環境設定をしてあげることも必要です。
睡眠の質を高めるポイント
人間の睡眠の質を高めるためには、睡眠までの活動をルーチン化してリズムを整えてあげることが大切です。
毎晩同じ時間に寝かせられるように、入浴→授乳→就寝の流れをつくってあげることで、赤ちゃんは寝る時間がきたことを理解しやすくなります。
また日中に体をしっかりと動かす活動を取り入れておくことも大切です。
大人と同様に、日中の活動量が少ないと赤ちゃんもなかなか寝付けません。日中に多くの刺激を受けることで、赤ちゃんは夜に疲れてよく眠れるようになるので、おもちゃ遊びなどの時間を十分に取り入れましょう。
快適な睡眠環境の提供
赤ちゃんに快適な睡眠環境を提供するためには、次の2点をママ・パパさんが意識して実践することが大切です。
- 部屋の温度と湿度の管理
- 適切な睡眠衣の選択
それぞれについて解説していきます。
部屋の温度と湿度の管理
快適な睡眠を促すためには、部屋の室温と湿度の管理が重要です。理想的な室温は20℃〜26℃です。
季節によって細かい適温は異なりますが、この範囲の温度であれば暑すぎず寒すぎないでしょう。
夏場は25〜26℃、冬場は20℃以上になるように調整するとよいです。
湿度は40%〜60%が理想的です。赤ちゃんは汗をかきやすいので、湿度が高すぎると発汗が促進されて汗疹や脱水の原因になります。
夏場は50〜60%、冬場は40〜60%を目安にしましょう。
とくに冬場の乾燥は、ウイルス感染や肌トラブルの原因になるので、しっかり加湿を行って40%以上を保つようにしましょう。
適切な睡眠衣の選択
季節や室温に応じて適切な睡眠衣を着せてあげることも大切です。
睡眠時の衣服が不適切だと、寝苦しく感じることから寝相や夜泣きに影響します。
赤ちゃんは体温調整機能が未成熟であり、非常に暑さを感じやすいので、大人よりも涼しい衣服を着せてあげるようにしましょう。
夏場は汗をかきやすいため、コットンやリネンなどの通気性がよい素材のパジャマがよいです。短肌着やロンパース1枚でも十分です。
冬場は重ね着が基本になるでしょう。
長肌着の上にロンパースなどを重ねて着せます。
寒さが厳しい場合は、フリースやウールのような保温性のある素材もOKです。
ただし赤ちゃんが暑すぎないかは注意しましょう。
まとめ
本記事では赤ちゃんが横向き寝をする時期や、ママ・パパが横向き寝について知っておくべき注意点、安全な睡眠を促す方法などについて解説してきました。生後4か月〜6か月ごろから運動発達の関係で自然と横向き寝になる赤ちゃんも多いですが、1歳になるまではなるべく仰向けの姿勢に直してあげるほうが、SIDSのリスク回避の点からはおすすめです。SIDS以外にも、早いうちから横向き寝の癖があると頭の形や歯並びにも影響するリスクもあります。
赤ちゃんは成長に伴って寝る姿勢が変化していきます。寝返りなど姿勢を変えようとすること自体は発達の面からは成長している証拠です。
過度に心配しすぎる必要はありませんが、赤ちゃんが安心・安全な環境でしっかりと眠れるようにママ・パパが見守ることが大切です。
この記事を書いた人
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