赤ちゃんのずりばいの前兆とは?運動発達の目安&心と体への影響について
首座り、寝返り…と順調に赤ちゃんが成長していくと、次はずりばいやハイハイといった段階がみえてきます。
ずりばいやハイハイに移行する時期は成長が早く、赤ちゃんは運動面でも情緒面でも多くの物事を吸収する時期です。
赤ちゃんのずりばいとは、いつ頃から始まるもので、発達にどのような影響があるのでしょうか。
ずりばいはいつからするのか
ずりばいとハイハイの違いや、目安となる月齢について確認しておきましょう。
- ・「ずりばい」とは
- ・ずりばいをする目安の月齢
「ずりばい」とは
ずりばいとは、赤ちゃんがうつ伏せの状態でお腹を床につけたまま進む動作です。
ほふく前進のようなイメージで、体を引きずるように移動するのが特徴です。
寝返りをしてうつ伏せの姿勢になれるようになると、ハイハイの前にずりばいをする赤ちゃんもいます。床にお腹がついて引きずっていればずりばい、お腹が持ちあがるようになるとハイハイになります。
ずりばいをする目安の月齢
ずりばいをする赤ちゃんの月齢の目安としては、生後6ヶ月~9ヶ月頃となります。寝返りやお座りができるようになると、だんだんと筋肉がついてきてずりばいやハイハイといった動きのある動作ができるようになってきます。
乳幼児期の赤ちゃんの発達は個人差が大きく、これらの月齢は目安になりますのであまり気にしすぎないようにしてください。
ずりばいやハイハイをせずに、シャフリングといって座ったまま移動をして、つかまり立ちを始める赤ちゃんもいます。
赤ちゃんがずりばいをする前兆
赤ちゃんがこのような動きをし始めたら、ずりばいを始める前兆かもしれません。
- ・うつ伏せで手足を動かす
- ・うつ伏せで体を回転させる
- ・飛行機ブーンのポーズをする
ずりばいはうつ伏せの状態での移動となりますので、まずはうつ伏せの状態に慣れているというのが大前提です。
赤ちゃんは日々の成長の中で、少しずつ筋肉をつけていきます。
「うつ伏せで頭を持ち上げる」「腕の力でずりばいして移動する」という動きは、これらに必要な筋力が成長してきたと考えていいでしょう。
運動能力発達の目安
生まれたての赤ちゃんは1日中寝ている時間が多く、特に動きはありません。成長に合わせて運動能力が発達していきますので、月齢と運動能力の発達について知っておきましょう。
運動発達 | 月齢 |
首の座り | 生後4~5ヶ月 |
寝返り | 生後6~7ヶ月 |
ひとり座り | 生後9~10ヶ月 |
ハイハイ | 生後9~10ヶ月 |
つかまり立ち | 生後11~12ヶ月 |
参照:厚生労働省「一般調査による乳幼児の運動・言語機能について」より
上記のハイハイの前段階として、ずりばいが入る赤ちゃんもいます。
ずりばいの前後の運動発達について、ご紹介します。
- ・寝返り(生後6~7ヶ月)
- ・ひとり座り(生後9~10ヶ月)
- ・ハイハイ(生後9~10ヶ月)
- ・つかまり立ち(生後11~12ヶ月)
寝返り(生後6~7ヶ月)
寝返りとは、仰向けの状態から自分で体を動かして、うつ伏せの状態になる動作です。
首が座り、背中や足腰にも筋肉がついてくる生後6~7ヶ月頃にできるようになる赤ちゃんが多いようです。また、赤ちゃんによっては左右で得意な方が出てくる子もいます。
赤ちゃんにとっては、初めての全身を使った運動となります。仰向けの状態で腰をひねって回ろうとしていたら、最初は手で支えてあげながらアシストしてあげると体の使い方を覚えていくでしょう。
ひとり座り(生後9~10ヶ月)
ひとり座り・お座りは、ずりばいとおよそ同時期に出てくる運動発達のひとつです。
最初は手を床について座ろうとする赤ちゃんもいますが、体が安定してくるとひとりで座れるようになっていきます。
今まで横になっている姿勢ばかりだった赤ちゃんが、自分で体を起こせるようになると、視界も変わり見える世界も広がっていきます。
ハイハイ(生後9~10ヶ月)
ずりばいをして自分で移動ができるようになると、次はお腹を床から離したハイハイができるようになっていきます。
手の平と膝で四つ這いになって進む動作で、お尻をしっかりと持ちあげられる足腰の筋肉がついてきています。
ハイハイの状態から膝を伸ばしてお尻を高く上げて進む「高這い」ができる赤ちゃんもいます。
つかまり立ち(生後11~12ヶ月)
ハイハイができるようになると、いよいよつかまり立ちが始まります。
つかまり立ちとは、何かにつかまって赤ちゃんが自力で立ち上がる動作を指します。
ママやパパが立たせてから何かにつかまらせるのではなく、赤ちゃんが自力で立ち上がるのを見守りましょう。
最初はつかまり立ちの時間が短いですが、徐々に時間が長くなり、物をつたって移動するようになっていきます。
ずりばいによる心と体の成長
赤ちゃんがずりばいをすると、心と体にこのような成長の変化があるといわれています。
- ・体の機能の発達
- ・脳や心の発達
- ・生活リズムの変化
体の機能の発達
大人がしてみるとわかりますが、ずりばいは全身の多くの筋肉を使った動きです。
首を持ち上げる力や腕、体幹などの上半身だけでなく、蹴る力も必要なので下半身の力も強くなっていきます。
さらに指先や手の平への刺激もグンと多くなり、手先の機能発達にも良い影響があると考えられています。
ずりばいで自分で興味のある物を見つけて移動し、実際に手で掴むといった動きは赤ちゃんの発達に大切な段階であるといえるでしょう。
脳や心の発達
赤ちゃんの運動発達は、脳や心の発達の土台となる重要なプロセスです。
言語聴覚士の中川信子先生の著書「ことばをはぐくむ」(参照:ことばをはぐくむ)でも紹介されていますが、言語の発達を促すためには運動機能の発達が土台となっています。
ずりばいは運動機能の発達だけでなく、脳や心の発達にも良い影響を与えてくれます。
ずりばいをする赤ちゃんの月齢で発語がある子は少ないですが、この時期にできる経験をたくさん積んでおくと後の発達の準備段階にもなります。
生活リズムの変化
生まれたばかりの24時間昼夜逆転したような生活から、だんだんと夜寝る時間も長くなってきた頃でしょうか。
ずりばいを始めると、赤ちゃんは全身運動で体力を使い疲れますので、食事や睡眠にも良い影響を与えてくれます。
ずりばいにより運動量を増やし、赤ちゃんの生活リズムが整ってくると、ママやパパの負担も少しずつ軽くなっていきます。
ずりばいをしない赤ちゃんもいる
ずりばいに良い影響があるといわれると、ずりばいをしなくてはいけないのかと考えてしまうかもしれません。
しかし、中にはずりばいをしない赤ちゃんもいますし、だからといって発達に問題があるわけではありません。
- ・なぜずりばいをしないのか
- ・ずりばいをしなくても発達に問題はない
- ・ずりばいをしないので注意が必要なケース
なぜずりばいをしないのか
そもそもなぜずりばいをするのかを考えてみましょう。
赤ちゃんが自身で「動きたい」という欲求があるものの、運動能力の発達段階であるため、ハイハイではなくずりばいになると考えられます。
少しずつ筋力をつけている段階なので、お腹が床についてしまう態勢になります。ずりばいをせずに、いきなりハイハイができてしまう赤ちゃんもいますが、問題はありません。
ハイハイをしないでつかまり立ちをする赤ちゃんもいますので、発達段階のステップはあくまでも目安であるとわかります。それぞれの赤ちゃんの様子を見ながら、動きやすい方法を促してあげられるといいでしょう。
ずりばいをしなくても発達に問題はない
ずりばいをせずに成長をする赤ちゃんも多くいますし、ずりばいをしないから発達に何かしら問題があるとはいえません。
ずりばいをしなくても深く悩む必要はありませんが、赤ちゃんがずりばいをしない理由を考えてみましょう。
- ・移動したいという欲求が低い
- ・他の移動方法がある
- ・動き回るスペースがない
主に考えられるのは、すでにずりばい以外に自分で動ける移動手段があったり、そもそも動きたいという欲求が低いというものです。寝返りでコロコロ転がって移動する赤ちゃんもいますし、抱っこでの移動で満足している赤ちゃんもいます。
赤ちゃんの成長を見ながら、手の届く範囲でオモチャを見せて興味を促してみると好奇心が刺激されるかもしれません。
部屋の障害物をなくしてスペースを確保するといった環境の見直しもしてみましょう。
ずりばいをしないので注意が必要なケース
「ずりばいがない≠発達に問題がある」なので、赤ちゃんの様子を総合的にみて判断する必要があります。もしかしたら、聴覚や視覚といった知覚機能が未発達の可能性もあります。
ただこれらは乳幼児健診でのチェック項目に入っているはずなので、今まで指摘がなければ可能性は低いでしょう。ずりばいだけでなく、他にも不安な点があれば小児科医に相談してください。
ずりばいを誘う練習方法
赤ちゃんがずりばいをしなくても大きな問題はありませんが、ここではずりばいを誘う練習の方法をお伝えします。
ママやパパのサポートのヒントとし、赤ちゃんとのコミュニケーションの時間の参考になさってください。
- ・うつ伏せに慣れる
- ・部屋の安全対策をしておく
- ・お手本を見せてみる
- ・足裏を支えて蹴る力をサポートする
- ・後ろに進んでしまう時
うつ伏せに慣れる
ずりばいをする前兆として、「飛行機ブーンのポーズ」や、「うつ伏せで手足を動かす」という動きをご紹介しました。
これらはまずうつ伏せの状態をキープできるのが大前提であり、うつ伏せに慣れていない赤ちゃんはずりばいを急ぐ必要はありません。
まずは寝返りをして自分で腕を抜き、うつ伏せで顔を上げられるようになるのが動作のステップです。うつ伏せの状態から、好きなオモチャを使って視野を広げさせたり、手を伸ばす練習から始めてみましょう。
部屋の安全対策をしておく
ずりばいをして赤ちゃんが自分の意志で動き回るようになると、部屋の安全対策が必要になります。
- ・床を綺麗に掃除する
- ・家具の角をクッションで保護する
- ・コンセントカバーをつける
- ・ベビーサークル内で遊ばせる
- ・ベビーゲートをつける
赤ちゃんの成長は早いもので、知らない間に想像以上のスピードで動けるようになっていきます。
ママが安心して過ごすためにも、早めに安全な環境を整えておいてあげましょう。
お手本を見せてみる
赤ちゃんは周りの大人を見て、動きを真似しようとする力があります。
例えば、バイバイと手を振る動作や、パチパチと拍手をする動きは赤ちゃんが大人の真似をしている動きです。「むすんでひらいて」のような手遊びをする感覚でいいので、少しお手本を見せてあげると赤ちゃんが真似をするかもしれません。
遊びの流れで親子で楽しく取り組めると、良いコミュニケーションになり愛着形成へとつながっていきます。
足裏を支えて蹴る力をサポートする
ずりばいは腕の力だけでなく、足で蹴る力も必要です。
自分の体をどのように使うのか、足をどう使えば蹴る力を利用して前に進めるのかをサポートしてあげます。
最初は足裏を支えてあげて、膝を曲げたタイミングで蹴る力をイメージさせてあげます。
ずりばいをしながらグルグル回ってしまう時は、壁を蹴らせるようにすると前に進む方法を覚えていくかもしれません。足の使い方によって進む方向がコントロールできるとわかると、自発的に動こうとしていくでしょう。
後ろに進んでしまう時
赤ちゃんによっては、ずりばいをしてはいるものの、後ろに進んでしまい、なかなか前進できないという子もいます。
特にずりばいを始めたばかりの赤ちゃんが後退してしまいますので、「左右の力が均一でない」「腕と足のバランスがとれていない」などが理由として考えられます。
後ろに進んでしまう時も、壁を蹴るような練習をしてみるといいでしょう。
気付いたら机の下にもぐっている、という驚きもあるかもしれませんが、後ろに進むずりばいは前進ずりばいへの準備段階と捉え、温かく見守ってあげましょう。
ずりばいは大切な発達段階のひとつ
ずりばいはハイハイへとつながる、赤ちゃんの大切な発達段階のひとつです。
運動機能や心に良い影響がありますので、短いこの時期の子育てを楽しみながら成長を見守りましょう。
一方でずりばいがない赤ちゃんもいますが、発達に問題があるわけではありませんので安心してください。
ずりばいやハイハイで赤ちゃんが動きだすと、目が離せなくなりママは大変になっていきます。
児童館や地域の子育て支援センターといった、広くて安全な場所でのお遊びデビューもそろそろ考えてみるといいでしょう。
この記事を書いた人
メルシーママン編集部
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